超非磁性ばね用ステンレス鋼線の特色
りん青銅に匹敵するレベルの非磁性を有し強度、耐食性、耐熟性、ぱね疲労特性に優れたばね用オーステナイト系ステンレス鋼線ことです。
く特長>
1)強度は、SUS304-WPBと同等です。
2)冷間伸線加エにより高強度としても透磁率は1.003以下を維持し、
りん青銅とほぼ同等です。
3)最適低温焼なまし条件である550℃×30minの熱処理を施すことに
より、強度が大幅に向上します。
4)ぱね疲労特性はSUS304・WPBより優れています。
5)耐食性は非常に良好で、特に耐孔食性については他のオーステ
ナイト系ステンレス鋼線より大幅に優れています。
6)耐高温へたり特性はSUS631J1-WPCと同等以上の性能を示します。
●化学成分
窒素(N)の積極添加を行っていることが特徴であり、この結果オーステナイト組織の安定
化により超非磁性(μく1.003)を達成しています。またNの添加は、強度、耐食性、耐熱
性の向上に有効であることが知られています。
表1 化学成分(代表値) (mass%)
|
C |
Si |
Mn |
Ni |
Cr |
Mo |
N |
|
0.02 |
0.3 |
6.0 |
10.0 |
22.0 |
2.0 |
0.4 |
●代表特性
1.透磁率
加工率70%以上でも透磁率1.003以下と非常に低い値を示し、良好な低透磁率を示します。AIS1205よりも低く、りん青銅とほぼ同等な値を示します。
2.低温焼なまし特性
低温焼なましによる強度のピークは550℃であり、この温度で引張・ねじり強さ、耐力
がピークに達します、よって推奨低温焼なまし温度は550℃x30minとなります。
3.機械的特性
引張・ねじり強さ、耐力および弾性係数はSUS304WPBとほぼ同等であり、最適低温焼なまし条件の熟処理後ではSUS304WPBよりも優れた特性を有しています。
超非磁性ばね用ステンレス鋼線 代表引張特性(Φ0.9mm)
|
鋼種 |
調質状態 |
引張強さ |
0.2%耐力 |
耐力比 |
縦弾性係数 kN/mm2 |
|
超非磁性ばね用 ステンレス鋼線 |
伸線のまま |
1943 |
1708
|
87.9 |
168
|
|
550度×30min |
2360 |
2179 |
92.3 |
177 |
|
|
SUS304 |
伸線のまま |
1911 |
1685
|
88.1
|
164 |
|
380度×30min |
2215 |
1989 |
89.8 |
172 |
超非磁性ステンレス鋼線 代表ねじり特性(Φ0.9)
|
鋼種 |
調質状態 |
ねじり強さ |
0.3% |
耐力比 |
横弾性係数 N/mm2
|
|
超非磁性ばね用 ステンレス鋼線 |
伸線のまま |
1058 |
817
|
77.3 |
63
|
|
550度×30min |
1228 |
1175 |
95.7 |
70 |
|
|
SUS304 |
伸線のまま |
965 |
856
|
88.7
|
62 |
|
380度×30min |
1125 |
1040 |
92.5 |
69 |
4.ばね疲労特性
ばね疲労特性は、SUS304WPBと同等の400℃×30minの熱処理でSUS304WPBより優れています。さらに最適低温焼なまし条件である550度×30minの熱処理を施すことにより、さらにばね疲労特性は向上します。
5.耐食性
NASlO6NはSUS316と比較しても耐食性に優れており、特に耐孔食性(6%FeCl3浸漬試験、孔食電位)においては極めて優れた特性を有しています。
6.耐高温へたり特性
超非磁性ばね用ステンレス鋼線は、耐高温へたり特性において400℃x30minの熱処理においてはSUS304WPBとほぼ同等であり、最適条件である550℃×30minの熱処理を施すことによりSUS631Jl-WPCと同等以上の耐高温へたり特性を有しています。
●用途
非磁性…電子部品用ばね、検針機対策ばね(りん青銅代替)等りん青銅と比較して強度が高く、ばねの小型化・量化を可能にします。
耐食性…薬剤ボトルスプレー用ばね等耐食性を生かし、耐薬品用途等幅広い用途に展開が可能です。
耐熱性…自動車用(エンジン・排気系)等SUS631J1以上の耐高温へたり性能を生かした使用が可能で、SUS631J1のような長時間の析出硬化熱処理が不要な為、ぱねの生産性を向上させることが出来ます。
注)本資料に用いた特性値は代表値であり、品質を保証するものではありません。